楽器の振動と音響 Vibration and Acoustic
ヴァイオリンの振動モードと音響放射の数値シミュレーション Mode vibration and acoustic radiation of violin
イタリアのオールドヴァイオリンの製作者の、ストラディヴァリやグァルネリの製作した楽器をマイクロCTスキャンにて3D形状を取得し、魂柱やバスバーを含む本体まるごとの数値シミュレーションを行っています。このような楽器全体のモード振動と音響放射を同時に数値シミュレーションした例は世界的に見てもまだ少ないと言えます(構造・音響連成数値シミュレーション)。数値シミュレーションに与える3DデータはマイクロCTスキャナを使用しました。
The numerical simulations of the mode vibrations of violin and the radiation patterns around old violin such as Stradivari are performed by the finite element method using COMSOL Multiphysics(TM). The objective of this study is to clarify the relationships among the properties of wood, the mode vibrations and the acoustic radiations. The geometry of violin is scanned by micro CT scanner and the orthotropic properties of spruce and maple, such as the Young’s modulus, the rigidity modulus and the Poisson’s ratio, are set in the parameters of numerical simulation. The shapes of the main mode vibration and the acoustic pressure around body are calculated.
Paper(PDF) Body and acoustic radiation, Plate,
[動画] Movie : Plate mode vibration / Body and radiation
実際のヴァイオリンの板の厚みは均一ではなく、中央部が厚く周辺部へかけて緩やかに薄くなっています。数値シミュレーションにおいても、この厚みを考慮しないと正しい計算結果が得られなく、表面のアーチの形状のみをスキャンするだけでは不十分です。よって、本研究のようにCTスキャンなどにより楽器の内側の座標の取得による正しい厚みの情報が重要です。下の図のように構造・音響連成をコンピュータで計算することで共鳴周波数や楽器内外の音の放射特性を定量的・定性的に観察することができます。
詳細:PDF ヴァイオリンの音響構造連成シミュレーション
木材の加工と性質変化の分析 Change by Heat and Medicine Treatment
Change in the acoustic or mechanical specific of wood by the heat-treatment and the medicine application
楽器用木材の熱や薬品による加工処理による音響的・機械的性質の変化を分析しています。バイオリンの表板(スプルース)と裏板(カエデ)の板を作りそれに対して、かつて行われた楽器製法における試行が木材にどのようなダメージを与えるのかを調べています。蒸気をあてたりオーブンで加熱したり、ミネラル分の塗布、紫外線照射などによる質量や含水率の変化のほか、木材の内部音速をLucchi Meterで計測したりFFT analyzerによる応答特性や残響、電子顕微鏡(SEM)で調べています。
Spruce before treatment (SEM, ×250)
バイオリン用松脂の分析 Rosin for Violin
Measuring the load on a violin and friction by rosin with developping original analyzer and taking Electron Microscope.
バイオリンなど弓毛を弦にこすりつけて演奏する楽器を擦弦楽器といいますが、弾くには毛に松脂を塗る必要があります。というのも、毛はそもそもキューティクルが綺麗にならんでいてすべすべしています。
そこで松脂を塗って摩擦をつくるわけですが、松脂のメーカーやラインナップごとにその性質は変わり、引っ掛かりや音色に影響します。
楽器に掛かる抵抗測定装置とボーイング装置を開発して、松脂の粒子の状態と抵抗の関係や、バイオリンニストの演奏への影響などを調べています。
Rosin on bow hair by SEM, for Violin(left) and for Contrabass(right), (Rosin: Archet Bunkyo Co.)